「自分を追い込む」


「自分を追い込む」




 ハタチの頃の日記を読み返してみた。
当時の僕は未来を切り開こうとがむしゃらに
もがいていた。
 わき目も振らずひたすら勉強していた。
朝5時に起きて、始発の電車に乗り、
学校で夜の10時まで勉強していた。



 未来は見えなかった。暗闇だった。
だけど信じて勉強した。毎日が自分との戦いだった。


 
 何が僕をあそこまで突き動かしていたのだろうか。
今振り替えてみて同じ自分とは思えないほど頑張っていた。



 今の僕はどうか。今の僕は薄く甘い生活の中で
自分を追い込むことを忘れている気がする。
 当時の僕は、今の僕を見て、がっかりするだろう。



「どうしてそこでサボるんだよ。」
「1秒を惜しんだお前はどこへ行った?」
「お前ができることはそんなレベルなのかよ。」



 僕は今精神的にも肉体的にも余力がある。
全力投球しているとはとても言えないだろう。



 僕は自分を追い込みすぎて対人恐怖になった人間である。
あの時の恐怖を再び味わいたくないために
ある時から自分を少し許し、休むことを覚えた。
それは頑張りすぎた自分を休めるために必要なことだった。



 しかし最近の僕は、その許しを言い訳にして、
どうもサボっているようだ。
休みとサボりを混同してはならない。




 追い込むべき時期は遠慮なく追い込む。
それでつぶれたらまた休めばよい。
今は自分をひたすら追い込む。




 ハタチの僕はこう諭す。

 
 「自分を追い込め」と。




 今の僕はこう返す。


 「悪かった、俺はサボっていたよ。
  お前のおかげで今の俺がある。
  また死ぬ気で頑張るよ。見ていてくれ。」と。








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