「株について」


「株について」




私は投資と言う行為については起業家と言う立場上、
1つの哲学を貫いています。



1 起業家と株



「起業家は、投資される側であり、投資をする側ではない。
株に手を出す起業家は失格である」


 私は起業家は基本的に株に手を出してはいけないと考えています。
そんな暇があったら、とにかく今までの社会には無い、
付加価値の高いサービスを探求しなくてはなりません。
起業家が誰かに投資をしてしまうとは本末転倒です。


 少し会計的な話をすると、起業家は、営業利益(本業の儲け)を
追求するのであって、経常収支(本業以外の利益)で
利益を挙げようなどとは考えるべきではないのです。
経常収支の重要性が出てくるのは、大企業です。
起業家が株に手を出したら終わりだと思います。




2 学生と株

また、株をやろうとする学生さんも、基本的にはオススメしません。
証券会社に将来勤務したいと言う希望を持っている生徒さん、
金融系に進む、あくまでギャンブル!楽しむためにやる!
と言うのなら問題無いと思います。


しかし、例えば今、アルバイトを一生懸命して、
手元に30万円ができたとします。このとき、
株に手を出すということは、自分を馬鹿にしていることになるのです。
手元に30万円あるのなら、自分に投資すべきです。
30万円で勉強して、自分を磨き、社会に貢献して、
その対価として将来取り返せば良いのです。


株をやるということは、
株の売買をするための手続きや
日々の株価が気になってしょうがなくなります。
その時間たるや膨大なものです。
その時間を勉強に向けたほうが
遥かに得るものがあると思います。




3 付加価値を生み出せない空虚な社会


他人に投資をして設けようという思考が社会に
満栄すると、空虚な社会が出来上がります。
どういうことでしょうか。


今、100人の村があったとします。
このとき、皆が人に投資をして、お金を儲け、
自分は働きたくない!と思って、
株主になったとします。ですが、何か変です。



なんでしょう??


100人が100人投資家になるということは、
誰も何も創らないと言う事です。
すなわち、「投資先がない」のです。
皆が皆、楽して儲けよう、人に働いてもらって、
儲けようと思うと、どこにも投資する先が無くなってしまい、
付加価値の生み出せない、空虚な社会が出来上がってしまうのです。


また、もしかしたら、隣に100人の村(例えば中国、ベトナム)があって、
そこで投資ができるかもしれません。
確かに最初は投資をして、お金を設けることができるかもしれません。
しかし、隣村の村民達はいつか、気がつきます。
「どうして僕達は隣村の人たちのために働いているんだ?」と。


もう彼らのために働くのは辞めよう。
自分達のために働こうと彼らは決心します。


そうなったとき、今までは投資する先があった、
100人の村人は途方にくれます。
人を働かせることはできても、
自分達では何も生み出せないことに気がつくのです。
そして、結局はコツコツ自分の頭で考えて、
働いてきた隣村との競争に負けてしまうのです。
それはもしかしたら、50年後か、100年後かも
しれませんが、いつか必ず来るのです。




4 若者が投資家になることによる社会的損失


特に働き盛りの若者が、
それ自体が付加価値を生み出さない
投資家になってしまうことほど、
社会にとって大きな損失はありません。


頭が元気である、体が健康であるということは、
自分たち自身で社会に対して何か貢献するための
イデアであったり、労働ができるのです。
また基本的には教育はそういった人を育てることを
目的としてなされるものです。




5 労働と社会貢献


私達は、人に働いてもらって、お金を稼いで、贅沢に暮らすために
生まれて、教育を受けてきたのでしょうか。


私達の頭は何のためについているのでしょうか。
私達はなぜ働くのでしょうか。私達にはお金がもちろん必要ですが、
お金があれば良いのでしょうか。
またお金持ちになったから働くことをやめて良いのでしょうか。
それで、一生懸命をつなげてくれたご先祖様が喜ぶのでしょうか。
またこれから、受け継がれていく子孫のために役に立つのでしょうか。


書店に並ぶ、お金儲けのための本、マネースクール・・・
私はそういったものに食指を動かし、
目の色を変えて飛びつく若者の姿を見るのが本当に嫌なのです。
FXでお金が儲かったとして、一体何が社会にもたらされるのでしょうか。


労働は人間に多くの経験をさせてくれます。
労働とは、人のために尽くすことです。
人を喜ばせることです。人の悩みを解決することです。
将来の子供達のために、知恵を作る作業です。



お金とはいつも自分が生み出した
付加価値に対してお客様からありがたく頂くものです。
ゼロサム取引(片方が得して、片方が損する取引)で、
小頭使って相手に損をさせて自分が得するものではありません。



飲食系であれば、おいしい物を食べてもらう、
服飾であれば、素敵な洋服を着てもらう、
製造業であれば、便利な製品を使ってもらう、
旅行業であれば、素敵な旅を提供する・・・




お金とは、お客様に得をしてもらい、
お客様に喜んでもらうことで、
得られるものだと考えます。







*補足

社会にはある一定数の個人投資家は確かに必要です。 
やりたい事があるときに、リスクを共有して身銭を
切ってくれる投資家は、起業家にとっても
とてもありがたい存在です。



しかし、そういった人は、引退した資産家の老人であったり、
極めて高度な視野を持ち、社会に適合させることのできる
専門的な投資家だけであっていいのです。






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