やさしさは痛みから創られる


 生きていればつらい事、嫌なことが必ず起きます。
私自身もつらいことが沢山あります。でも、つらい事、嫌なことを
体験するからこそ、人はやさしくなれるのだと考えています。
人は痛みを知ることで、痛んでいる人の気持ちが理解できるように
なるのです。


 私は10代の頃、酷く独り善がりな生き方をしていました。
自分勝手で、人の気持ちなどほとんど考えていなかったと記憶しています。
天罰は下るものです。私は人の気持ちを考えなかった反動で
孤立し、寂しい時代を過ごす事となってしまいました。


 一人ぼっちで、心にぽっかりと穴が空き、酷い孤独感に苛まれました。
そうして自分自身が痛めつけられる事で、
ようやく人の痛みを感じる事が出来るようになってきたのです。


 人の痛みが解るようになると、苦しんでいた自分に対して
またそれが必然であり、自分の人生にとって必要な事だったと
思うようになっていきました。


 私は最近、つらい事がありました。カウンセリングをする
立場でありながら、たまに自分自身に心の問題を抱えたりも
しています。ですがそれは意味のあることだと考えています。
 私は人の痛みを知らなくてはなりません。人の痛みを知らなくては
ならない人間が、その痛みから逃れる事はできません。


 自分の心が痛む度に、私は私を求めてくれている人の為に
尽くそうと心に刻んでいます。私は痛みを抱えている人の
為に生きたい。寂しい気持ちを抱えているときほど
つらいときは無い。そんな思いをしている人の心の
拠り所になりたいのです。


 私は一時的な人間関係を築くためにこの仕事を始めた
訳ではありません。私は私を求めてくれる人と、一生付き合っていこうと
決心しています。問題が解決できなければ、仕事抜きで
その人の事を考えます。それが私の人生なのです。