「暗闇の中から」


「暗闇の中から」




 24歳のとき起業を決意して、会社員を辞めるとき、
私には何の保証もありませんでした。
 両親にも反対されましたし、コミュニケーション講座を
開くという私の説明を聞いて、私が成功すると思った方は
誰一人としていませんでした。




 私には、マーケティング上の確証を持てるような
数字がありませんでした。一体世の中のどれだけの
人がコミュニケーション講座を欲しているのか、
全く解らなかったのです。ですので、これを論理的に
他者へ説明することなど不可能でした。




 両親、特に父親はサラリーマンとしては成功した人間です。
基本的にはやりたいようにやらせてくれる
出来た親父ですが、起業には反対でした。
 母親は女子高の教職です。起業の世界など
まったく理解できませんでした。




 私にあったのは私自身がコミュニケーションで
悩んだと言う経験だけでした。
独りぼっちで苦しくて、誰ともまともに話せなかった経験だけが。
 そしてきっと同じように悩んでいる人がいるに
違いないと、ただただ直感的に感じ取っていたのです。



 
 結局私は、ほとんどまともな話し合いもせずに
会社を辞めてしまいました。親不孝な次男だったと
思います。今でも会社を辞めた報告をしたときの
両親の不信感を持った顔を忘れることはできません。
しかしそれは、成すべき事を成すには避けては通れない
道でした。





 それから私は起業に向けて、貯金を切り崩しながら、
コンテンツをつめる生活を続けました。
コミュニケーション論の学習と研究の為、
会社員時代に貯めたお金を
ほとんど使い果たしてしまいました。




 つらかったことは、当時の私の取り組みを
誰も理解してくれなかったことです。
理解者がいないということが本当につらかった。
 私の取り組みを応援してくれる人は
誰もいなかったのです。 


  


 私は長い間、孤独に耐える必要がありました。
これは正に暗闇の中を彷徨う作業そのものでした。
私の開く講座は本当に需要の見えない世界です。
今でこそこれだけの生徒さんに囲まれていますが、
当時は1人も受講してくれないのではと不安でなりませんでした。 





 私が訴えたいことは、どんなに周りが反対しようとも、
理解してもらう事が出来なくとも、孤独に耐えて
自分が信じた道は最後まで貫き通すべきだと言うことです。


 

 人生は一度しかないのです。リセットボタンはありません。
一度しかない人生です。後悔は残さないように
信じたことがあるなら、素直に挑戦すれば良いのです。





 また、私のような凡才以下の人間でも、
世の中のために貢献しようと言う基本的な
心があれば、大抵のことはうまく行くと感じています。
 また、逆にどんなに能力がある人でも、
世の中のために貢献しようと言う心が無ければ
2流以下の働きしかできないと考えています。




 自分のために生きようと思っても、
社会は自分にはやさしくしてくれません。
社会のために貢献して、結果的に自分に少しばかり
生きるための対価を受け取ることができるのです。





 この生き方は私自身一生を通して
貫き通します。










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