「原点回帰」

「原点回帰」



 去年から修士論文を書き始め、講師と経営と研究という3つの
わらじを履く生活を続けてきた。確かに忙しい生活ではある。休日などない。
しかし、本当に頑張っているのか?自己管理ができているのか?
といえばそれは確実にノーである。



 睡眠時間は乱れ、食生活は乱れ、まとまった勉強時間を
確保できていない。プロジェクト管理は納期意識が弱く、
是が非でも達成しようという気合が欠如している。
何が影響しているのかといえば今は何に向かうのかという
焦点がぶれている感覚がある。私は漫然としているのである。



 私の人生において、本当に頑張っていたと言える期間は3つある。
中学時代の野球部、会計士受験生時代、起業当初である。
この時期はひとつのことに集中して、徹底的に努力できていたと言える。
しかし、これらの期間において私は大抵病んでいた。

  
 心理学を学んでいく中で、完全主義は諸刃の剣であることを学んだ。
完全を求め自分に負荷をかけすぎると、集中力が増すのと引き換えに
雰囲気が殺伐とし、ソーシャルスキルが低下し、周りから人が離れ、
孤独になり、攻撃的になり、精神的に不安定になる。



 これではいけない。私は自分を苦しめている
完全主義を徐々に緩めていった。
 


 さて、完全主義を不完全主義に変えると精神的には安定するようになった。
無理せず自分の役割の中で柔軟に物事を捉え、過度に自分を責めることが減った。
結果は自然な流れの中で決まるのであり尊大な思考は薄くなっていった。


  
 しかし、やわらかい人間関係を築く力を高めると共に、
起業家としての必要な牙を失った気がする。
「頑張っている感覚」「限界に挑戦している感覚」
を最近感じていない。



 人生において絶えず限界に挑戦することはできない。
ある程度の休息期間と余暇は必要である。
しかし、弛緩した期間が長すぎるといつの間にか
成長が止まり、前に進む力を得ることができなくなる。



 私はこの仕事に人生を預けた人間である。一度しかない人生だ。
後悔の無いよう燃え尽きなければならない。
もう一度期間を決めて、私は人生で4つ目の集中する期間に
入りたいと思う。



 完全主義は使い分けである。
結論付ければ、人間関係において完全主義はほとんど役に立たない。
不完全主義が基本である。一方で仕事に関しては完全主義と不完全主義の
使い分けが必要である。キリのような集中力を出すには時として
完全を目指すことも必要である。



 原点回帰

 


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