「実家の屋根裏」

「実家の屋根裏」

　正月に実家に帰った。
実家の3階は屋根裏部屋になっていて
私が引きこもりになったときに
死のうかと思っていた部屋だ。
薄暗くて、陰鬱で、好きな部屋ではない。

　引きこもりになっている時間は考える時間だけはある。
人間はなんで生きているのかとか、死んだらどうなるとか、
幸せってなんだろうとか一日中考えていた。
当時は終わりの無い絶望のトンネルの中を
ただ死ぬまで進んでいるだけという感覚だった。
　実家に帰ってそんな時間を思い出すと、
その暗くてつらかった気持ちがよみがえってくる。
　

　その一方でおそらく人生がもう1度リセットされて
あの頃に戻ったとしても、再び引きこもるであろう
という複雑な気分になる。私にとってはこの暗くつめたい
屋根裏部屋で考えることができたからこそ、
今の活動の原点がある。今の考える習慣の源泉ができたとも言える。

　引きこもる時間は、社会性を失う代わりに、
独特の思考を熟成させる時間ともなる。
それがマイナスに働けば犯罪に繋がることもあるし、
プラスに働けば社会的に意義のある活動にもつなげることができる。

　私にとって孤独で寂しい時間は
どこかで経験する必然性があったのだと今では思っている。
その時間は物を考える時間になって自分なりの考えを
熟成させる時間になったり
また孤独で寂しい思いをしたからこそ
人間関係の大事さも認識できたから。

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