コミュニケーション能力とコミュニケーションレベル




 コミュニケーション能力を一言で表すことはとても難しいです。
なぜなら、コミュニケーションをする場所によって全くその目的が
変わってくるからです。


 *南山大学の岡部朗一教授はコミュニケーションのシステム・レベルを


      個人   
      対人
      集団内・外  
      組織内・外
      国家内・外
      文化内・外

 に分けています。一言にコミュニケーション能力を上げる!と言っても、
属しているシステムレベルによって求められる能力が全く変わってくるのです。


 例えば家庭や、恋愛であれば、家族との感情交流が求められます。
また、会社組織内であれば、論理性や分析的思考が求められます。
さらに,組織の階層の上にいれば組織を動かすための
リーダーシップ力が求められます。

 
 コミュニケーション能力が高いと聞くと、活舌良く論理的に話す人物を
思い浮かべるものです。
 しかしそれはコミュニケーションの目的の1つに過ぎず、結局は
いかに色々な場所で目的に沿ったコミュニケーションができるかと言う事に
なってくるのです。


 私が嫌うコミュニケーション能力は攻撃性を帯びたコミュニケーションです。
特にディベートをやりすぎると、どうしてもプライベートでも批判的な思考が
身に着いてしまいます。注意を促しても、批判的思考が身体に染み込んで
しまうのです。


 批判的思考はすごく大事なのですが、それをコミュニケーション能力と
勘違いしてしまう怖れが多分にあります。ですのでスタンダードコースでは
ワークとしてディベートを直接行うことは避けています。
もっとも「考える力をつけるワーク」で理論的な背景を拝借しますが。


(追々マスターコースを作るつもりなので、
そこではディベートを取り入れようと考えています。)


 スタンダードコースでは特に前半は心のあり方を中心に
ワークを行っていきます。人が何かをしようとしたり、
何かを感じ取るのは結局は心ですから。私は心不在の
コミュニケーション力をつけて欲しくないのです。


 あらゆるシステム・レベルに共通するのは人間の心です。
心不在のコミュニケーション能力はあらゆる面で危険です。
まずは心なのです。自分を労わる心、人と労わる心を
まずは鍛えて行って欲しいと心から願っています。






 *南山大学、岡部朗一教授

 書籍 「大統領の説得術―人を動かすレトリック 」
     「異文化コミュニケーション―新・国際人への条件」
     等、多数