失われて行く美に対する哀愁

「失われて行く美に対する哀愁」





 多かれ少なかれ、美は失なわれて行くものです。
私は女性と別れる際、必ず背中を見てしまいます。
そして、どんなに美しい女性でも後姿に哀愁を感じます。




 美は失われて行く。これから枯れ行く
姿を想像し、いとおしくなります。
美を失ったとき、果たしてこの子は
誰に需要されるのだろうと勝手な心配をしてしまうのです。




 そしてその哀愁漂う背中がいとおしくなり、
守らなくてはならないと言う男心が動きます。




 男性には女性を守らなくてはならないと言う
本能があると思います。これは*ジェンダーによって
後天的に植え付けられたものではなく、
先天的に、いわゆる*元型的に備わった本能
だと考えています。




 私のそんな元型的な本能は
女性の背中を見ると自然と心の中に
沸き出てくるのです。




 しかしながら、思うに花は枯れるからこそ
美しいのかもしれません。
枯れない花は、造花と同じで何か味気ないです。
枯れない花は時間の概念が薄められ、
今の美しさの希少性が制限されてしまいます。




 女性の美もいつかは枯れるからこそ美しいの
だと考えます。そしてその美しさには枯れ果てて行く
美しさと哀愁が備わっているのです。



もののあはれ・・・







* ジェンダー
社会的・文化的性別を指す。
例えば女性が女言葉を使い、
男性が男言葉を使う。これは先天的な
物ではなく、文化的に後天的に備わった
性差である。

対して先天的・身体的・生物学的性別
はセックス(sex)と言われる。




*元型

ユングの用語。本能とともに遺伝的に備わり、
誰もが無意識に持つ心の像。
民族や文化を超えて物語・神話・文芸・儀礼などの
主題・モチーフの中に繰り返し現れる。