不安定であること

*起業を決意して会社員を辞める時期に
書いた日記です。安定と不安定はいつも
私のテーマです。今は以前と考えが変わっていますが、
久しぶりに読んだら面白かったので載せておきます。







「不安定であること」




 いよいよ今週いっぱいで正社員を辞めることになった。夢への大事な
一歩であると同時に、現実としての壁が迫ってきている。望んでいたこと
ではあるが、自分が半年後にどうなっているのか正直想像できない。
まして1年後の自分なんて余計解らない。正社員であるときはある程度
未来が見えるが、起業後の未来というのはよくわからない。



 だからと言って、自分の進むべき道に
対する迷いは無いない。むしろ清々しい。




 人間の歴史のほとんどは「食」との戦いであった。
そして「食」が不安定であることがあたりまえだった。
現代は飽食の時代だ。しかし、今の状況は人間の歴史をたどれば
およそ奇跡に近い状態だと言ってもよいだろう。



 人間、もっと広く言えば生物は基本的にはいつ
も食に対して不安定な世界で生きてきた。
そんな厳しい世の中でなんとか適応してきたのである。



 僕は安定した職を捨て、「不安を感じるか」とよく聞かれる。
不安が全くないといったら嘘になる。しかし、僕の中で不安定であることは
あたりまえだから、未来が完全には見えない世界で生きていくことに
違和感を覚えることはないのだ。世の中の基本の摂理は「不安定」である。
「安定」は世の中の基本ではない。変化
は絶えず、どこでも起こっていて、その環境にうまく順応して適応していこ
うとする姿勢が人間の本来あるべき姿なのだと考えている。



 僕が会社員であり、安定した中にいる事にDNAが違和感を感じたのかも
しれない。僕は安定した環境にいると逆に不安になるのである。人間の
本来いるべき環境にないため、生きる情熱や、エネルギーが湧いてこな
い。なんだか、死んでいるのも同然のような気がしてくる。



 未来が見えないことで不安を感じるということは間違いである。
未来が見えないのは当り前なのだから。幻想である「安定」を求め
るよりも、「不安定」に順応する能力を高めることが人間として当
り前の姿勢なのだと思う。