「未知との遭遇と公的自己意識の目覚め 2 」



未知との遭遇と公的自己意識の目覚め 2 」
(前の日記はこちらです)




 女の子とのボーリング大会まであと3日。
私はいよいよ迫ったボーリング大会に
向けて洋服のコーディネートをする必要に迫られた。
言うなれば初めて本気で異性を意識し、
「自分の見た目」に気を使い出したのである。




 中学3年生と言えばもう自分で洋服を買っている
年齢である。しかし、私はそれまでほとんど自分で
買ったことが無かった。
 野球部に属し、かつ男子校に通っていれば
当然の帰着であろう。



 私には5歳年上の兄がいる。生半端な知識で
洋服を買っても結果は見えている。私は尊敬する兄に、
お下がりの洋服をコーディネートしてもらう事にした。
 しかしこの兄、身長が188ある。
当時14歳の私の身長は155センチぐらいだったと思う。




 どう考えてもサイズが合う訳が無い。
しかし、ズボンを折り曲げたりして、
どうにかこうにはコーディネートしてもらった。
結果、中途半端なBボーイスタイルの中学生が
出来上がったのである。




 しかもこのBボーイスタイルは意図したわけではなく、
自然発生的にBボーイになったのである。
狙ってダボダボにしたのではない。なんだか異様な姿である。



 
 但し、当時私は洋服に全く無頓着であった。
そのため、兄の「これでいいかっ!」と言う言葉を間に受け、
「ああ、これでいいのか」と納得はしていた。
今思えば、「これでいいかっ!」は無いだろうと
兄貴を小1時間問い詰めたいところである。




 そんなこんなで当日を迎えた。
集合は中学生らしく、昼過ぎぐらいだっただろうか。
緊張して午前7時に起きると、私は生まれてはじめての
異性とのお遊びに備え、コーディネートを始めた。




 今までほとんど見ることが無かった鏡を見て、
初めて自分の姿をまじまじと見るようになった。
短い髪にムースをつけ、無理やり立たせ、
兄からもらったお下がりの洋服を着込み、
入念にチェックした。




 私はおそらく不細工であった。
おそらくと言うのはどういうことか。
 私は男子校育ちで、女性の目が無い生活を送っていたので
自分がどれだけもてるのか全く解らなかったのである。
だから「おそらく」なのである。




 漠然と鏡を見て、髪型といい、洋服といい
なんとなく統一感が取れておらず、また肌もニキビが
でき始めていたこともあり、ダメな感じはしていた。
不細工と言う確信ではなく、推測ぐらいの感覚が
適当であろう。
 



 そんな不安を抱えつつ、いよいよ集合場所に到着した。
まずは男組みで集合した。私以外に4人いた仲間達も
いつもとは違ってお洒落をしている。私はそんな彼らに比べ、
なんとなくダサイ気がしていた。
 私はこの時、いつもは制服で隠されていた
自己の身体的な魅力に劣等感を感じた。
 



 それはそれとして、男組みは女の子組みの到着を待った。
私の仲間は、ほとんど女の子とは話したことがない人間ばかりである。
私だけでなく、他の仲間も女の子が気になり、
目が泳ぎっぱなしであった。 




 10分ぐらい経っただろうか(10分の遅刻である。
何歳になっても女の遅刻には覚悟が必要である)
ついに向こうの方からうら若き乙女達がやってきた。
男組みはほとんどパニックである。




 

 未知との遭遇はこうして幕を開けたのである。






 続く







**