「人間」

「人間」



最近こんな一文を読みました。



***

人間の第一義は「ジンカン」とよみ、「人が住む世、世間」
を意味するという。すると、「人」には、本来
「人と人の間に生きる存在」と言う含みがあったことになる。

それ故に、もしも、こうした人と人との相互性の中から脱出してしまうならば、
それは「非人間(人でなし)」にならざるをえないであろう。
かくて、人はもともと、他人を求め、他人と関わり、その関わりの中で
共に活きるべく内発的に動機づけられた存在なのである。



安藤延男編『人間関係入門』
カニシヤ出版、1988年より抜粋


***




なるほど。私たちは人間でありますが、
人間である以上、人と人の間に生きることが
宿命付けられているようです。



生まれた瞬間は母親との人間関係から始まり、
父親、兄弟、祖父母、友人、恋人、配偶者、同僚・・・
と人間「ジンカン」は果てしなく続きます。



人は笑ったり、怒ったり、泣いたり、悲しんだり、
身振り手振りを使って人とかかわります。
これらの感情や動きは、もし私たちが独りなら
必要のないものばかりです。



そう考えると私たちは、生まれた瞬間から
泣いて母親の助けを求めるわけですが、
もはやその瞬間から人とのかかわりの中で
生きていくように定められているのだと言えます。



人は生まれた瞬間から死ぬ瞬間まで、
人間「ジンカン」を果てしなく旅するのです。
その旅は楽しいときもあれば、
悲しいときもあるでしょう.



そしてそうしたジンカンがあるからこそ、
私たちはよくも悪くもドラマチックな
人生を歩むのだと言えます。




**