「本当の自分」


「本当の自分」





 私は週間漫画をほとんど読みません。
唯一読んでいる雑誌はヤングマガジンで、
カイジとチェリーナイツと言う漫画だけです。
週間で読むのはこの2つだけなので、
基本的に気が向いたら立ち読みで済ませ、
申し訳程度にジュースを買って出てしまいます。




 そんな折ですが、私は今週号のチェリーナイツに感動し、
久しぶりにヤンマガを買ってしまいました。
それもたったの3ページのためにです。



 チェリーナイツと言う漫画は30歳で童貞、
容姿の冴えない江藤カオルと言う主人公と、
同じく童貞で、容姿の冴えない、18歳の田村はじめが
どうにかして女の子にもてようともがくギャグ漫画です。



 江藤カオルは、出会い系のメールや、インターネットのオフ会、
キャバクラなどに頑張って参加しますがいつも女の子に相手にされません。
小さい頃はいじめにあっていました。その経験からかいつもオドオドしています。
コミュニケーションはめっぽう苦手です。
仕事は一生懸命働いていますが、お給料の安い仕事です。
食事は松屋ココイチばかりです。江藤ももう30歳。
うまく行かない苛立ち、将来に対する不安で
毎日が押しつぶされそうです。



 
 そんな江藤ですが唯一心を許せるのが田村でした。
田村も同じく童貞なのですが、18歳と江藤よりは人生経験が浅いのです。
田村よりも物知りな江藤を尊敬していました。
そんな田村は、ある発明をしました。
それは餅整形です。ギャグ漫画なので設定が
めちゃめちゃなのですが、餅を顔そっくりに加工して、
それを顔に張るとブサイクがイケメンになるのです。




 田村は先輩の江藤のためにこの餅整形を施し、
江藤をイケメンにすることができたのです。
イケメンになることができた江藤は
町に出かけました。いつもは容姿に自信がなく、
節目がちで歩いていた江藤は堂々と
町を歩くことができることに喜びを感じるようになります。
鏡を見れば、肌がつるつるで目がくりっとしたいい男がいます。
江藤は目的も無く町をあるきます。




 江藤は何気なくコンビニに入りました。
そのコンビニにはメガネをかけたごく普通の女の子がいました。
あるきっかけ(きっかけは忘れました)で餅整形でイケメンになった
江藤と連絡先を交換すると女の子は自分からアプローチするようになっていきます。
江藤にとっては普通の女の子からアプローチされるのは
初めての経験です。




 2人はデートを重ね、江藤も次第に彼女に恋心を抱くようになっていました。
しかし、江藤はあくまでも餅整形をしている江藤です。
江藤は深く悩みます。これは本当の自分ではない。本当の自分は矮小で、ちっぽけな自分だ。
悩みながらも江藤はデートを重ね、ついにクリスマスを迎えました。



 
 待ち合わせ場所は江藤がいつも夢見ていた
カップル達が集う、ツリーの前でした。
江藤は待ち合わせ場所で彼女と会うと、
決意をしたように、自分の顔に張り付いている
餅を取り、いつもの冴えない江藤に戻りました。




 そして次のように続けました。






**************************
ヤングマガジン03-04合併号 
チェリーナイツ 小田原ドラゴン 
第108話 460〜461ページ より抜粋





わしは江藤カオル30歳です・・・・



新聞販売所でアルバイトをしています・・・・



給料は月12万円くらいです



多い時は14万円くらいもらえます・・・・



後輩の田村とアパートに2人で住んでます



家賃は5万2千円です・・・・



汗をかいたら鮒みたいな臭いがするとたまに言われます・・・・



中学・高校と友達が一人もいませんでした・・・・



修学旅行の自由時間は1人でトイレに5時間こもってました・・・・



ケンカも強くありません・・・・



将来の夢は・・・・夢はまだ模索中です・・・・



でも もし割れたガラスの上を裸足で歩くような仕事があって
その仕事をすることでキミを幸せにすることができるならば
わしは迷わずやります




もし牛の肛門に頭を突っ込むような仕事があって
それでキミの大好きなデザートを夕食に一品増やすことができるならば
わしは迷わずやります



これが今のわしのすべてです



だますつもりはありませんでした
キミと会ってた時のわしと今のわし
違うのは顔に餅が貼り付いているかいないかの違いだけです
こんなわしでよかったらお付き合いしてもらえませんか





************************************ 




江藤は冴えない自分に戻り、
勇気を振り絞って彼女に告白しました。
本当の自分になって相手に対する事は
とても勇気がいることだったと思います。



江藤は餅整形をしたまま告白すれば
彼女は受け入れてくれる事を知っていました。
30歳で始めての彼女ができて、童貞も捨てられたかもしれません。



しかし江藤は、自分の本質に忠実に生きました。
例え結果がどうなろうとも、江藤は江藤として生きることを選びました。
例えモテない江藤でも、江藤は江藤です。
それ以上でもそれ以下でもない。



そして、江藤は本当に彼女が好きでした。
パッとしない普通の女の子ですが
素直でやさしい、真面目な女の子です。
男ならこんな彼女が欲しいと誰でも思うでしょう。




だから江藤の言葉には覚悟があった。
心に響きました。江藤の言葉には覚悟があふれ、
ボソボソと話しながらも力強いものでした。




恋愛における告白に限らず、
心の奥底から湧き上がってきた
自己開示はいつも迫力があります。




今、ここまで迫力のある言葉を日常生活で
聴くことはあまりありません。
私は江藤から恋愛の上でも仕事の上でも
たくさんの勇気をもらいました。



大好きな人ができたら逃げずに対峙し、
しっかり伝えたいなと思います。
ダイコミュの男子達!!
江藤に負けず、頑張ろうぜ!!



ありがとう










***************************


12/26  コミュ-1グランプリ 直前練習会
http://direct-comm.com/course/onedayseminar.html


12/27 コミュ-1グランプリ
http://www.direct-comm.com/event/index.html


**************************