「感情労働(Emotional Labour)」

感情労働(Emotional Labour)」



 「本当の感情」と「実際に表現する感情」
に乖離が生じると人間は精神的な疲労を覚える。



例えば、嫌いな誰かと会話をするときに、
それを覆い隠すように笑顔を示す。


非常に疲れる。



例えば、仕事でとても疲れているのに、
お客様と接するときに笑顔で接する。


非常に疲れる。





感情と表現の乖離については感情労働として
心理学の分野で最近研究がなされてきた。
看護師や接客業の方はうつ病が多いといわれ、
その原因の一翼に感情労働が関わっていることがわかってきている。


すなわちこれらの仕事についている方は、
自分の感情を素直に表現することは許されず、
お客様ありきのすばらしい接客態度を要求される。
感情をコントロールすることを仕事として求められるのである。
しかし、人間は感情と表現に齟齬があればあるほど混乱し、
ストレスを感じる。それが蓄積すると精神的に疲れてしまって
うつ病の原因になってしまうのである。



特に問題となるのは、
「マイナスの感情」を持っているのもかかわらず、
「プラスの表現」をしなくてはならないときである。
例えば、昨日失恋したばかりなのに、次の日は笑顔で出社しなくてはならない。
上司から怒鳴られて落ち込んだ数分後に笑顔で接客をしなくてはならない。
自分に自信が無く、人と話す気分で無いのに、社交的に振舞わなくてはならない。
こんな時はとても疲れる。
「プラスの感情」を「マイナス表現する」機会は生のコミュニケーションでは
ほとんど存在しない。顕著にストレスとなるのは前者である。




労働者に限らず、日常的なコミュニケーションでも、
「本当の感情」と「表現する感情」に違いが生じることがある。
しかし、これを絶えず続けていると疲れ果ててしまって、
人と接すること自体に苦痛を覚えるようになる。



そのため、できれば「本当の感情」と「表現する感情」を発露できる場を確保したほうが良い。
特に日常的なコミュニケーションにおいては、
仕事ほど制約はない。時に眉間にしわを寄せて愚痴ってもいいと思うし、
弱音を吐いてもいいと思う。人を選ばなくてはならないが。


では現実的に本音を吐露できない環境においてはどうするか。
これは非常に難しい問題である。自分の感情にうそをつけば、
疲労が蓄積するし、うそをつかなければ、その環境には適応できない。


私自身のことを言えば、「間」を取ることにしている。
すなわち自分が抱えている許容できる範囲の
精神的な疲労度とその環境に適応することによるメリットを
天秤にかけて判断するのである。


ただ自分の中での許容範囲も感覚的になんとなく
決まっていて、現実的に自分の本音よりもプラスに見せるのは
2〜3割程度に抑えている。それ以上のプラスを表現しようとしても
どこか嘘が出てしまうし、ただ会話が疲れるだけだから。



 2〜3割程度ならなんとか自分自身も楽しんで会話ができる。
また漫然と本音だけを表現していても、
成長にならないから、「スキル」を高める努力として
ある程度は頑張って明るく振舞おうとはする。
ただ多くても2〜3割と決めている。
それ以上は負荷か高すぎるからやらないことにしている。



 自分の表現可能な社交性で対応できない環境もあるから
また1つの選択肢として環境そのものに
行かないということもある。



そして根本的な努力としては
「プラスの感情」そのものを持つように
認知を改善していく習慣も必要である。
「プラスの感情」さえもってしまえば、
それを表現することでまずいという環境は
現実的にはほとんど存在しないから。


 

 どちらにしても、
素直に自己表現ができて、
自分の生の気持ちで
人と話したいものである。
感情労働はできればしたくはない。
 





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