「感情と表情のズレ」

「感情と表情のズレ」




 私は対人恐怖だった頃、本来の感情と、
実際の表情の間にズレを感じていました。




 例えば私は、
怖いと言う感情を持っているのに、
無理して笑顔を作ったり、
好きだと言う気持ちを隠して、
冷静に装ったりしていました。
 それは照れ隠しと言うレベルを超え、
病的なものでした。



 私の感情と、表情がズレていたのです。
感情と表情を別にするのは
とても疲れる作業でした。
結果私は人間関係に疲れ果て、そのズレる癖は
対人恐怖の大きな一要因になってしまいました。




 今でこそ、そう言ったズレた感覚は
違和感の無いレベルに落ち着きましたが、
 当時の私と同じ悩みを講座の生徒さんから
頻繁に相談されます。




・本当の自分を出すのが苦手
・素直な自己表現ができない
・気を使いすぎて、愛想を振り撒き疲れる
・表の顔と裏の顔がある





 これらの悩みは共通して、感情と表情のズレだと言えるでしょう。
本来の自分を隠すと言うことはとても疲れます。
隠すと言う行為は精神の消耗がとても激しいのです。
 例えば、何か嘘をついているときはバレ無いように
気を使わなくてはならないのでとても疲れます。
 


 感情を素直に表に出せない人は、人と接する度に、
本来の自分を隠そうと神経を使い果たし、心底疲れてしまうのです。
これではコミュニケーションを楽しむことはできません。


 

 もちろん、感情を全て表に出すことは危険が伴います。
嫌いな上司と仕事をしている時に、あからさまに嫌な表情を
出していたら、評価が下がってしまうかもしれません。





 しかし、過剰なズレは自分自身のためになりません。
素直になる。解りやすい顔になる。そう言った心構えは
ストレスをためないために、とても大事なのです。




 感情は素直に表しましょう。
感情を隠すのはできるだけ避け、例外とするように心掛けましょう。










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 あとがき


「脳とズレ」



 感情と表情のズレる癖のある方は
私は二重人格だと訴える方が多い。
(厳密な意味での二重人格ではないが)




 脳の仕組みで言えば、自分の中で
辺縁系(原始的な感情に関る脳部位)と
前頭連合野(理性的な判断に関る脳部位)
がそれぞれの人格として認識されれようである。




 すなわち、辺縁系で恐怖を感じたとしても、
前頭連合野が、これを表現するのは適切でないと
判断すれば、恐怖は表に発露されない。




 すなわち、自分の中では、
人格が2つあるような感覚なのである。




一方は恐怖を感じる自分がいるが、
一方で冷静にそれを制御する自分もいるのである。



 これは簡単に言えば、人格が一致していない状態に
なり、脳の負担が大きい。単純に表情を出すよりも
はるかに複雑な情報を処理する必要が
あるので疲れるのである。





 この意味で、*公的自己意識が発達していない
子供は表情を隠すと言った概念が無いので、
この意味においてストレスを感じることはない。





 やはり基本は素直な感情表現が必要である。




 
*公的自己意識・・・周りからどう見られているのかと言う意識











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