「フラットな組織と誠実さ」



 現代経済はモビィリティ(mobility=流動性)が高い環境にあります。
組織を取り巻く環境は日々変動し、
先日まで革新的だった技術が次の日には古臭いものに
なってしまう時代です。




 このようなモビリティの高い環境では
迅速な意思決定と柔軟性が求められるため、
企業は組織をフラット化することで対応してきました。
すなわち上下関係が薄く、自由度が高い組織です。
 



 ここで、自由度が高い組織は
上限関係が強く、固定的な組織に比べ、
仕事にもモビリティがあります。




 仕事にモビリティがあるとは言うことは、
自分のやるべき仕事が
日々変化していくと言うことです。




 そのためこのような組織において、
「決まった仕事だけをしていればいいんだ」と言う心を持って
いると、変化を求める会社から淘汰されてしまいます。




 フラットな組織では、個々人の仕事にモビリティがあるため、
個々人が自分の仕事を固定的に捉え、それ以外の仕事をしないと、
会社はうまくまわらなくなってしまうからです。




 そこで、社員の採用に関しては
OCB(Organizational Citizenship Brhavior)
に関する精神を持っているかどうかを重視する時代になると
言われています。




(潮村公弘・福島治著 社会心理学概論参照)





 OCBとは組織市民行動と言われ、簡単に解釈すると、
そもそもの自分の仕事以外の仕事に関する行動を意味します。
 例えば、朝早く出社して会社の掃除をしたり、
職場で暗い顔をしている人がいたら悩みを相談してあげたり、
新しいプロジェクトに参加したり、
会議の席で自分の役割を超えて発言したりと言った行動です。






 OCBの精神が強い人は、組織の為に何かしようと言う
意識が強く、単に自分の仕事をするだけでなく、
自分の枠外の仕事も積極的にこなしていきます。
 この点、フラットな組織では仕事自体が流動的で、
枠外の仕事が頻繁に発生しますのでOCBの精神が強い人が
好まれるのです。
  



 ここで重要なことは、OCBの精神は誠実な性格の方ほど
強い傾向がある
と言うことです。
(ダラールによるメタ分析)




 そう考えると、フラットな組織にとって、
誠実である人材を集めることは、
組織を維持する上で必要不可欠だと言えるでしょう。




 組織で働く人間としては心掛けたいことは、
誠実であることです。この誠実さを徹底することは簡単ではありません。
時間に誠実であって、約束に対して誠実であること。
相手の心に対して誠実であること、普段の生活で誠実であること。
自分の考えを誠実に相手に伝えること・・・




 また、組織を管理する立場にある人は、
その人の直接的な働きと同じぐらい、
誠実さを評価しなくてはなりません。
 また管理する人自身が、その対象となる人に対して
誠実でなくてはならないのです。




 組織の誠実さが高まったとき、
それはOCBの向上につながり、
 もってモビリティの高い経済環境への
適応力が高まると言えるでしょう。





 そして結局、個人が誠実であれば、
それは会社の成果となり、会社が安定すれば
自分の生活も安定するのだと思います。
 



 
 誠実さは組織の要です。
私自身も全身から誠実さがにじみ出るように
日々心掛けようと考えています。







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