「噂の広がり方」


「噂の広がり方」




この前、面白い現象を目の当たりにしました。
ことの発端は新宿で取引先の女性と町を歩いていたのを
生徒さんに目撃されたことからはじまりました。
その日は広告系の女性の営業の方と打ち合わせをする日でした。
女性の方とは駅で待ち合わせをして、新宿東口の喫茶店まで
一緒に歩いていきました。傍から見れば、
年頃の男女ですので、カップルに見えたのかもしれません。




(実際は仕事に関する極めて
乾いた会話をしているわけですが・・・)





数週間ぐらい経った頃でしょうか。
私は複数の生徒さんから



「先生!最近女性と遊びまくっているらしいですね!」
「女性と歩いているのを見つかりまくっていますよ!」



と言われました。




私とすれば???な現象です。
どう考えてもそんなに女性と遊んだ記憶は無いのです。
これはどういった経緯でそうなったのか、
コミュニケーションの伝達経路に興味が沸いてきました。




モチベーションを得た私は、その原因を突き止めるべく、
様々な生徒さんに情報の出処と、
伝達経路(チャンネル)を聞いてまわりました。
そうするとある興味深い事実が浮かび上がってきたのです。




まず前提条件として、
山田さん鈴木さん加藤さんがいたとします。
本来はもっとたくさんの方がいましたが、
簡略化して3人に限定します。





分析の結果、大元の情報は山田さんがもたらしたものでした。
山田さんはまず、新宿で私が女性と歩いているのを目撃しました。
「これは面白いネタを仕入れたぞ!!」
と意気揚々とした山田さんは、
嬉しそうに鈴木さんに電話で伝達します。
「先生が新宿の伊勢丹のあたりで女性と歩いていたぞ!」
それはまるで鬼の首を取ったように・・・



また、数日後山田さんは講座の飲み会で、
加藤さんにも同じように報告します。
この時点の情報の流れを図式化してみます。



1 真実の事象をAとします。

      ↓

2 しかし、真実の事象を見た、
  山田さんの認知はゆがんでいるので、
  AをA´と若干ゆがめて解釈します。
      

   この時点で
  *山田さん情報A´保持
  

      ↓

3 山田さんは鈴木さんにA´を電話で伝えますが、
  情報が正しく伝わることは稀で、
  コミュニケーションミスが生じ、
  鈴木さんはゆがめられた情報Bを得ます

      ↓


   この時点で
  *山田さん情報A´保持
  *鈴木さん情報B 保持



4 同じく山田さんは加藤さんにA´を飲み会で伝えますが、
  コミュニケーションミスが生じ、
  加藤さんはゆがめられた情報B´を得ます


   この時点で
  *山田さん情報A´保持
  *鈴木さん情報B 保持
  *加藤さん情報B´保持



そして、さらに噂は広がります。山田さんから情報を得た鈴木さん
メールで加藤さんに情報を報告します。この場合大抵は情報は正しく伝わりません。
「先生が新宿で女性と腕を組んでデートしてたぞ!!」
と報告します。そうなると、加藤さんからしてみれば、
山田さんと、鈴木さん両方から報告を受けたことになり、
私が2回女性と新宿で歩いていたことになるのです。





最終的な流れとしては以下のようになります。



1 真実の事象をAとします。

      ↓

2 しかし、真実の事象を見た、
  山田さんの認知はゆがんでいるので、
  AをA´と若干ゆがめて解釈します。
      

    この時点で
  *山田さん情報A´保持


      ↓

      
3 山田さんは鈴木さんにA´を電話で伝えますが、
  情報が正しく伝わることは稀で、
  コミュニケーションミスが生じ、
  鈴木さんはゆがめられた情報Bを得ます


    この時点で
  *山田さん情報A´保持
  *鈴木さん情報B 保持





      ↓

4 同じく山田さんは加藤さんにA´を飲み会で伝えますが、
  コミュニケーションミスが生じ、
  加藤さんはゆがめられた情報B´を得ます



   この時点で
  *山田さん情報A´保持
  *鈴木さん情報B 保持
  *加藤さん情報B´保持



      ↓

5 さらに鈴木さんはゆがめられた情報B
  さらにゆがめた情報Cをメールで加藤さんに伝達

      ↓

6 最終的に加藤さんが持つ情報は、B´とCになる。


  

   この時点で
  *山田さん情報A´保持
  *鈴木さん情報B 保持
  *加藤さん情報B´,Cを保持







上記の例はかなり簡略化しましたが、
別の情報経路から伝わると、情報がゆがめられるので、
たった一度の事実がどんどん膨らんで伝わっていくのです。
私の例で言えばもはや情報は錯綜しています。




このように情報には実体から名目だけが膨らんでいく、
バブルのような現象が生じます。
まあ所詮はバブルですので、基本的には
ある程度の時間がたてばハジケて
実体に戻っていくものですが、
このような情報に踊らされるのはとても危険です。






私は身をもって体験しました。
皆さんもお気をつけください(笑)










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