「教科書と拡散的思考」
「教科書と拡散的思考」
1+1=2
と教科書に書かれているとする。
するとどういうわけだか私達の思考は
そこで停止する。
「そうか。1+1=2なのか」
と。教科書に書かれていることは
中間、期末テスト、大学の試験に出る。
そこで良い点を取るには教科書に書かれている
内容を疑うことなく、シンプルに模倣するほうが効率が良い。
しかしながら、教科書は
「なぜ1+1=2なのか?」
と言う与えられた情報を元に
創造的に考える(拡散的思考)ことを促さないし、
いちいち考えていたら非常に効率が悪い。
ただ教科書に書かれていることを愚直に
コピーアンドペーストすれば点数が伸びる。
拡散的に考え、なぜ1+1が2なのかを
徹夜で考えてテストに臨んでも
クラスで最下位となるのがオチである。
詰め込み教育は情報の基礎固めをする上では役に立つ。
実際基本となる情報が無ければそれを加工しようが無い。
基礎がしっかりしていなければ、拡散的思考の質も悪くなるだろう。
高等教育、大学2年生ぐらいまではこれでも良いのかもしれない。
しかしながら、情報をコピーアンドペーストしかできないままに
社会人になってしまったら問題である。
社会人向に出てから本質的に役に立つのは拡散的思考だからだ。
社会に出てから私達は様々な情報を得るが、
それは既にある情報であり、
人に触れれば触れるほどその価値は既に逓減しているのである。
しかし拡散的思考によって生み出された
情報はオリジナルである。オリジナルであり
かつ社会の役に立つ情報であれば価値が上がる。
特に言語コミュニケーション能力を向上させるためには
発話の力が必要であり、この発話の内容に価値を
持たせるためには拡散的思考が欠かせない。
拡散的思考がなければ、それは単なる周りの情報の
コピーしか話せないことになるからだ。
先ほどの例で言えば、
「1+1=2である」
ことを知っている人はいくらでもいる。
しかし、
「1+1がなぜ2なのか?」
それを知っている人はそう多くはないだろう。
そう考えると、目的にもよるが社会人向けの教材を作る際に
「あくまで拡散的思考」を高めるための教科書を作るとすれば、
完全な教科書を作るべきではない。
最低限の情報をインプットして
あとはとにかく自分で考えて結論を出すような
不明確で曖昧な教科書を作ることも視野に入れなくてはならない。
*参考文献
日本言語技術学会編 1999 言語時術教育 明治図書
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11/20(土)
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