「文章を書くこと 考える力」

「文章を書くこと　考える力」

　文章を書くということは
考える力をつける上でとても役に立ちます。

　人間の記憶力には限界があります。
人間の記憶力は短期記憶であれば
数秒で途絶えてしまいます。数字であれば、
１０秒間で７桁ぐらいを覚えるのが限度でしょうか。
さらにその７桁もちょっと時間がたてばどんどん忘れていきます。

　思考が　A→　B→　C　と進んだら、最初の方を忘れてしまって、
またAからはじめなくてはならなかったりします。
例えばあれこれ考えて良いアイデアを思いついたといます。
しかし、ついついうっかり寝てしまった・・・
はっ！！となって起きるとせっかくの良いアイデアを
すっかり忘れてしまった・・・
ああ残念・・・っと思ったことはないでしょうか？

　そうなったらとてももったいないですね。
また最初から考え直さなくてはならないのですから。
もしこれを言語に残しておけば、
その考えに到ったプロセスが記録されているわけですから
また考え直す必要がなくなるのです。

　また人間の集中力には限界があります。
ぼうっとして考えていても、
焦点が定まらずあっちこっち行ってしまい、
浅い部分でゆらゆらとゆれてなかなか深化してくれません。
私など、ぼうっとして物を考えていると、
ラーメンのことや炒飯のことを考えてしまうので
いつまでたっても思考が前に進んでくれません。

　
　A→ラーメン→A→B→チャーハン→（B）を忘れる→Aからやり直し
という形で前に進んでいかなかったりします。
非常に効率が悪いです。

　これを文字に残しておけば、
記録が残っているのでたとえ集中力が持たずに
途中までしか残っていなくても、
また途中から思考を進めていくことができます。
いちいち同じプロセスを繰り返す必要が無いのです。
ドラゴンクエストとかでセーブするのと同じ感覚ですね。
アリアハンから毎回はじめるのと、ダーマ神殿から
進めるのでは効率が全然違います。

　また文章だと考えをブラッシュアップができるという
特徴があります。文章は１度書いた状態ですと、
大概論理に穴があったりして、どこかスカスカしたものになりがちです。
しかし、利点として「おかしいな？」と感じる部分は
書き直したり、資料を探して修正することができます。
話し言葉ですと、話し言葉は流れて言ってしまうものなので
ブラッシュアップができません。その意味で深く洞察することができません。
文章で考えるということは考えを磨き上げることができるという利点があるのです。

　
　文章を書くという作業は記憶力と注意力の限界という
人間の能力の限界をカバーし、
さらにはブラッシュアップできるので
考えを深くする上で欠かせないツールだと言えます。

　というわけで毎年のことで耳がいたくなるかもしれませんが
生徒さんには文章を書くことをおススメしている次第でございます。

＊　補足

　　厳密に言うと思考には直感的なヒューリスティックな思考と
　　アルゴリズム（論理）に基づいた思考の２種類がありますが、
　　特に後者においては文章を書くことがとても重要になります。
　　また所謂直感は他者と共有することができないというデメリットが
　　ありますが、言語化された情報は他者とそのプロセスを共有できるため
　　社会的な情報として蓄積されていくというメリットがあります。

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