「ことばと発達 今目の前の人と自分の言葉で話す」


「ことばと発達 今目の前の人と自分の言葉で話す」





ことばと発達 岡本夏木 1985 岩波新書




 を読みました。
かなり古い本でだったのですが
なかなか興味深いものでした。
著者によると言葉の発達段階は、
一次的ことば期と二次的ことば期に分かれるそうです。




著者の定義を少し変えて自分なりに解釈すると




 一次的ことば期は、


・「その場」にあることが対象となる
・「今の時点」についての会話が多くなる
・ 目の前にいる人との会話になる
・ 言葉の定義は直情的で、辞書的ではない


という特徴があります。
ご飯を食べていて
「ケーキおいしいね〜」
「かくれんぼしようよ」
「おなかがいっぱいだあ、おなかぱんぱんだ」
といった会話が挙げられると思います。
これはその場にあることが対象であり、
かつ時系列Tで考えると「今」の会話です。




 二次的ことば期は、


・「その場」にあるものでなくてもよい
・「今」の会話でなくても良い
・目の前にいない人でも良い(不特定多数に対して)
・言葉の定義は辞書的で厳密である



アメリカには核がたくさんあり、
核の抑止力はあと30年は続くだろう」

「統計的に日本人は40%がO型であるが、
血液によって性格が変わることを示した論文はない」



これらの発言は二次的ことば期にあたります。



現代文を除けば学校教育では主に二次的ことば期に
あたるものを中心に高めていくことになります。
二次的言葉期にあたる言葉を使いこなせるようになれば
学歴も高くなり、テストの点数も伸びて評価されていきます。




しかし、講師の経験的なものでありますが、
会話を楽しむのが苦手な方は
二次的ことばに頼り、
一次的ことばを使うことを
躊躇う傾向があるように感じます。




顔と顔を合わせてする会話は、
不特定多数の誰かではなく、
「今」目の前にいるあなたと話すわけです。
そして、その言葉は辞書的では響きません。
非論理的であっても直情的で
あったほうが人間らしい会話になります。




 人間は言葉を厳密に定義して、
普遍性を持たせ、それによって
科学的な因果関係を突き止めて文明を築いてきました。
そのメリットがとても大きかったがために、
二次的言葉に重点が置かれた教育がなされてきました。
そして、その教育にどっぷりつかった人は、
人間の生の会話がとても苦手になってしまっているように感じます。




 この辺について、学問は極めて無頓着でありますし、
そういったデメリットは私達は誰からも教わらないまま、
ただただ論理性を追求し、
身体性を欠いた辞書的な会話しかできない
悩みを抱えている方もいます。




 二次的ことばは、不完全な人間が
ミスをなくして、厳密な社会を構成していくために
不可欠なものでもありますが、
また人間は論理だけでは幸せになれない生物であり、
どこかで情動的で、非論理的な部分も残す必要があると思います。





 筆者はP160ページでとても
示唆に富んだ例が提示されていました。
一部省略・・・






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戦争って知ってる?とたずねられた幼児は、


「人が死んでおそろしい」
「大砲に撃たれて血が一杯流れてかわいそう」


というような答えが多い



しかし幼児の中でも

「戦争とはいくさのことです」
「国と国がけんかをすること」


というような子供もいて
言語的に極めて整合性の取れた
「良い答え」が出てきて先生を喜ばせることが少なくない」
しかし果たして喜ぶべきことなのだろうか・・・






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私達は論理的であることの
メリットとデメリットを使いわけつつ、
ことばの使い方を考えなくてはいけないと感じます。










 
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